11月11日(土)広島市映像文化ライブラリーでいちだい知のトライアスロン出張講座を開催しました
2017年11月15日
11月11日(土)広島市映像文化ライブラリーにおいて、
「いちだい知のトライアスロン」の出張講座と映画上映会『晩菊』を開催しました。
一般の方も含め、約60名の方にご参加いただきました。
はじめに塩田附属図書館長から挨拶があり、「今回の上映作品『晩菊』は、63年前に制作された映画です。
物語の内容はもちろん時代背景にも目を向けてみることも、
学生の皆さんには新しい学びになるのではと思います」と話されました。
続いて、国際学部・佐藤深雪教授に「映画を読む『晩菊』~成瀬巳喜男と林芙美子~」と題してご講演いただきました。
映画『晩菊』(成瀬巳喜男監督 1954年)は、『放浪記』で知られる作家・林芙美子の
短編小説『晩菊』、『水仙』、『白鷺』が原作となっています。
佐藤先生は、林芙美子の作品に共通するキーワードとして「貧乏」があること、
ではなぜキーワードが「貧乏」なのかを物語の時代背景からたどり解説くださいました。
『晩菊』では、主人公・倉橋きんが金貸しでお金を数えるシーンが何度も出てくるのですが、
「きんにとってお金とは何か」が鑑賞のヒントとなるので、
その象徴的なきんのセリフに注目してみてほしいとお話されました。
また、登場人物を通してかかれる「男と女」「色と形」についても触れられ、「女は外見から衰えていく、
男は中身から衰えていく」という男女の老い方の違い、心情の違いについてお話いただきました。
晩菊とは、秋の終わりまで咲き残って、少し傷み始めた菊のことを言うそうです。
きんたちの歳を取っていくことのはかなさや孤独、それでもまだ美しくありたいという気持ちが
このタイトルに滲み出ているような映画です。どうぞご鑑賞ください。
出張講座に参加された皆さんには、知のトライアスロン「おすすめコメント」への投稿もお待ちしています。
ぜひ、映画の感想を投稿してください。